肌荒れや脂性肌、にきび肌やアトピーなどお肌にまつわるトラブルは様々。しかし、共通してそのスキンケアの重要性は変わらない。
毎日続ける正しいスキンケアが健康的な美しいお肌の復活につながるのです。
では、スキンケアのあれこれについて勉強してみましょう。


§1


アトピー性皮膚炎からエアコンによるかさつき、かゆみまで肌トラブルに悩む方はスキンケアについて関心をお持ちだと思います。スキンケアというと、美肌などの美容効果や疾患治療のようなものと思われがちですが、皮膚病予防の見地から考えると極めて大事なことなのです。
スキンケアの役割は、まず皮膚のバリア機能を高めること。肌は本来、外側からの細菌の侵入を防いだり、内側から水分が体外に漏れ出すことを防いだりするようにできています。これをバリア機能といいます。バリア機能が乱れることによって、肌荒れ、ニキビ、肌疾患、アトピーの原因を作り出してしまいます。バリア機能を高めるためには、スキンケアで肌の保湿を高めることが必要となってくるのです。

§2


保湿や保水というと、水分だけを補えばいいと思っている人もいますが、肌には脂質と水分の両方が必要です。脂質の分泌には女性ホルモンが関係しているとされ、性ホルモンの分泌が少ない高齢者や子供、女性ホルモンが低下する閉経後の女性などでは肌が乾燥しやすくなります。湿度が低下する冬はとくに肌が乾燥しがちになり、カサカサしてかゆくなります。最近は夏の冷房も問題で、肌のかゆみを訴える人は寒い季節に限らなくなっています。かゆいというとすぐに思い浮かぶのは「かゆみ止め」ですが、本当に大切なのは、普段からのスキンケアで肌の保湿を心がけることです。

肌の乾燥を防ぐスキンケアのポイントは、入浴後のケアです。入浴直後は、肌の一番表面にある角層が水分を十分に含んでいます。その段階でできるだけ早く化粧水や乳液やクリームなどをつけて、肌の水分を保持するようにします。それがバリア機能を高めることにもつながります。

最近は、いろいろな石けんや液体ボディーソープが市販されています。石けんを替えたら、全身がかぶれてしまったという相談も時々受けます。香料などが含まれているとアレルギーをおこしたり、かぶれの原因になります。香料や着色料などの成分が入っていない低刺激性で、油分を落としすぎないものを選ぶとよいでしょう。


§3


肌の保湿が必要な皮膚疾患の代表が、アトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎では、炎症が起こって湿疹やかゆみがある状態と、炎症が治まった状態があります。炎症が治まった後、肌は一見健康な皮膚に戻ったように見えますが、そこにはまだ問題が残されています。アトピーの患者さんは生来「アトピックドライスキン」と呼ばれる乾燥肌をもっていて、バリア機能が低く、外界からのウイルスや細菌、さまざまなアレルゲンなどの刺激に弱いのです。その為、ドライスキンのケアを怠るとまた炎症が生じて再発してしまいます。

一般に、アトピー性皮膚炎で炎症があるときの治療には、ステロイド外用薬などがよく使われます。それらの治療で炎症が治まったあとは、ドライスキンのケアとして保湿剤を継続して使っていくことが大切です。スキンケアを忘れるとアトピー性皮膚炎は治まらず、すぐに元の状態に戻ってしまいます。

現在、保湿を中心としたケアは炎症に対する治療とともに、アトピー性皮膚炎治療の 2 つの大きな柱になっています。それだけ、アトピー性皮膚炎の患者さんにとっては、保湿を中心とスキンケアが重要とされているのです。


§4


Q:一般の化粧品と低刺激化粧品はどのように違うのですか?
A:低刺激化粧品では、香料や保存料などの配合をできるだけ減らすなど、成分的にも低刺激化粧品を考慮した処方がなされています。それにプラスして、ビーバンジョアやドゥーエが一般化粧品と大きく違う点は、いわゆる敏感肌や乾燥肌をもっている人への使用試験を踏まえて安全性を確認してから、市場に出していることです。
また、有効性や安全性が確認されているかなどの根拠として、そうした使用試験を経ているかどうかが 1 つの手がかりになります。

Q:肌への負担を考えると、弱酸性のスキンケア製品を選んだほうがよいのでしょうか?
A:アトピー性皮膚炎の患者さんの肌のpHは、本来の弱酸性から、ややアルカリ側に傾いていることは事実です。肌の表面には腸の中と同じように、表皮ブドウ球菌などの善玉菌と黄色ブドウ球菌などの悪玉菌が存在しています。健康な肌は弱酸性に保たれ、悪玉菌の繁殖を抑えているのですが、アルカリ側に傾くと悪玉菌が増殖して、炎症などさまざまな肌のトラブルを招く原因となります。そのことを考えれば、もともとの肌の状態に近い弱酸性のスキンケア製品を選ぶほうがベター とは言えます。

Q:脂性肌に乳液やクリームといった油分を含む化粧品を使用してもよいのでしょうか?

A:脂性肌とは、皮脂の分泌が高い肌を指すことが多いようです。ただ、皮脂そのものは保湿機能やバリア機能をそれほど高めるわけではありません。脂性肌でニキビができていても、部分的に乾燥している人もいます。脂性肌の人は必ずしも十分に潤っているわけではなく、バリア機能が低下している人もいることは十分に考えられます。また、皮脂の分泌量は皮脂の部分によっても異なります。たとえば額から鼻にかけての T ゾーンは分泌量が多く、目の周りなどは逆に不足がちです。脂性肌の人が油分を含む乳液やクリームを使うときは、乾燥部分だけで補うなど、部分的に使いわけることが大切です。


§5



Q:シャンプーやリンスも肌への負担が大きいのですか?
A:アトピー性皮膚炎の患者さんを対象にアンケート調査を行ったところ、シャンプーで一番トラブルを起こしやすい部分は、頭皮ではなく、うなじや額、顔などでした。この結果よりシャンプーすること自体の刺激というよりは、シャンプーの泡が肌に残ることにより起こるトラブルだと言えます。おそらく下を向いて洗っている人が多いと思いますが、この洗い方だと、額や顔などにシャンプーの液や泡が残りやすいのです。
シャンプーやリンスを洗い流す際は、うなじの部分をよく流し、最後に上を向いてシャワーを浴びるくらいにして生え際までしっかりすすぎ、洗い残しがないようにすることが重要です。

Q:化粧を落とすときはクレンジングを使ったほうがよいのでしょうか?

A:油性の化粧品の汚れを洗い流す場合、通常の洗顔石けんでは、なかなか洗い落とすことができません。
無理に洗い流そうとすると肌に負担をかけてしまいます。化粧の汚れは、専用のクレンジングクリーム等を用いて粉とまじった油分を油分で溶解し浮かせて落とした方が、肌への負担も少なく短時間で済みますので、クレンジングを使うことをお奨めします。しかし、ニキビがあるような方に油分が多いクレンジングを使うと、油分が肌に残り、その後かなり脱脂力の強い洗浄剤で洗い流さな いとベタベタしてしまいますから向きません。逆に乾燥肌の人が脱脂力の強いクレンジングを使うと、肌がカサカサになりつっぱってしまいます。ビーバンジョアのアミノ酸クレンジングをオススメします。

Q:洗浄方法や洗浄剤の選び方についてのアドバイスはありますか?
A: 一般に水温を高くすれば皮脂は取れやすく、洗浄剤の効果も高くなります。乾燥肌の人は低温のお湯で洗浄剤が残らないように洗い、皮脂の多い人は脱脂力のある洗浄剤を使いお湯の温度を少し高めにして洗うと効果的です。洗うときは、洗浄剤をよくあわ立てて泡の中に汚れをなじませるようにし、こすりすぎないことがポイントです。肌が敏感な人が洗浄剤を選ぶ際は、パッチテストや使用テストなどの臨床試験を行って問題がない製品で、薬局などで手軽に買うことができ、リーズナブルなことも大切な条件です。
スキンケアはアトピー性皮膚炎の治療にはかかせません。洗浄剤の選び方は非常に大事であることを忘れないで下さい。




§6
  

思春期のにきびの発現原因としてはまず第一に思春期特有のホルモンバランスの乱れが考えられます。これに脂肪分の多い食事や充分でない洗顔などの諸要因が重なり、にきびが発現されるのです。

思春期に皮脂の分泌が活発になると皮膚の一番外側の角層といわれる部分が分厚くなり、結果として毛穴が詰まってしまう。この部分がやがて赤く炎症を起し、時には膿がたまって化膿してしまうのです。

思春期にきびの特徴としては、春〜夏に多く、乾燥肌より脂肌に多くみられる。また顔全体に広く現れることが大人にきびとの違いです。

とにかく、にきび痕をのこさないために無理矢理つぶしてしまわないこと。そして、1度の洗顔でこすらずに丁寧に洗うこと。また、洗顔は1日3回までにして極度に皮脂を洗い流さないように心がけましょう。
生活習慣の面では、睡眠不足とストレスを避け、糖分と脂肪分の少ない食事、また便秘を避けるために食物繊維を多く摂る食事を心がけて下さい。

炎症や膿がひどい場合は皮膚科で抗生物質の投与をうけること。


§7
   

大人にきびの原因は思春期のにきびより分かりやすく、ストレスの蓄積と食生活の乱れ、スキンケアアイテムのチョイスミスが考えられます。また、女性なら生理周期に同調したものもあり得ます。

どの原因も皮脂の分泌を過剰にすることにより毛穴を詰まらせ、アクネ菌の感染やハウスダストなどの炎症を引き起こすのです。

にきび肌といわれる肌の場合は、健康な肌の状態に比べ角質のバリア機能が欠落していて、肌荒れが併発していることがほとんど。
バリア機能が低下することで、細菌やほこり、アレルゲンの攻撃をハダカで受けることになり、一方では角質層の水分の蒸散をストップできない状態に陥っています。また、pHバランスが不安定で健全な弱酸性に保てれていないのも問題です。

大人にきびの特徴としては、季節を問わず、口やあごの周りなどに単発で発生し、乾燥肌であろうが脂肌であろうが関係なくできてしまうことです。


これもひどくなったら皮膚科の受診を。ハイチオールなどのシステインやビタミン剤を服用するくらいでは治療は難しいと思われます。


§8


思春期にきびも大人にきびも、とにかくにきび肌を解消しようとする場合のスキンケアのポイントは2つ。
毛穴の奥まで汚れをしっかり洗い流すこと角質の水分を逃がさないようにすること


毛穴の奥まで洗おうと思ったら毛穴を開けることが重要です。肌のpHは弱酸性に片寄っていますので逆性の弱アルカリ性の石鹸を使いましょう。
これで毛穴が開きます。

この後に弱酸性の化粧水をつけてやることで毛穴がきゅっと閉じ、弱アルカリ石鹸を使うことによるお肌への負担は生じません。


角質内の水分を守るためには化粧水のあとに必ず乳液(にきび肌の方はローションタイプの乳液の方がベター)を使用しましょう。また、油分を多く塗布することを防ぐために保湿クリームの使用は止めておいた方が良いでしょう。

とくに大人にきびは乾燥肌でも脂肌でもおこります。
にきび=あぶらが多いから=乳液はつけない・・
という考えは止めて、お肌の水分蒸散を防ぎましょう。角質内に水分が貯水されることで皮膚が柔らかくなり毛穴が柔軟になることでにきびができにくくなるからです。

にきび肌は細菌の感染や炎症がおこっている状態をあらわしますので、着色料や添加剤の入ったスキンケアアイテムを使用するのは避けましょう。
炎症が悪化することがありますので。
また、同じ理由でピーリングは行ってはいけません。ピーリングではにきびは治癒しないし、にきび痕をなくすこともできません。肌の新陳代謝のバランスが崩れたりバリア機能が欠損し、さらににきびができ易い肌になることがあります。